JavaOne Tokyo 終了

JavaOne Tokyoは三日間にわたって行われるイベントである。今回は業務の都合もあり、以下のような日程で参加した。

  • Day0 9:00〜12:00(テクニカル・キーノート)
  • Day1 9:00〜13:00(基調講演、展示会)、19:00〜21:30(Night for Java
  • Day2 18:00〜21:00(BOF聴講)

Day0 テクニカル・キーノート

サンマイクロシステムズのエンジニア・ディレクターによる、J2SE,J2EE,J2MEの軌跡と今後についてのスピーチ。特に興味深かったのは、ジョン・パンプチによる次期J2SE(Java SE)に関する話題。Java6の新機能に関する話題がいくつかあったが、個人的には、JRL、JDL、JIULという3つのライセンス体系が登場することに注目している。

JRL(Java Research License)は研究目的であれば比較的自由にJDKのコードを利用してよい、というライセンス。JDL(Java Distribution License)は商用での利用に関するライセンス。そしてJIUL(Java Internal Use License)は名前のとおり、社内用途などに限って、JDKソースコードを書き換えても良いというもの。特にJIULに関しては、仮にJDKに重大なバグが含まれていた場合も、サンの修正パッチのリリースを待つことなく、自分達で問題を解決してしまうことが可能となる。

「弁護士でなくても読めるライセンス」を目指しているだけあって、とても明確なライセンス体系であると感じた。また、JRLを使えば、JDK開発チームの承認さえとれれば、自分のコードをJDKに含めることが可能となる。

サンは「The Participation Age」というキーワードを頻繁に用いていた。このように、これからはJDKの開発にしても何にしても、どんどん開発者が参加していく時代になっていくのではないかと感じた。

Day2 基調講演

サンのバイス・プレジデント達によるスピーチ。JavaMEに関する話題が中心であったように感じた。
その後、NTTドコモi-mode,携帯Javaに携わっている夏野氏のスピーチ。ドコモは今後サンと協力し、スタープロジェクトなるものを立ち上げ、携帯Java技術を革新させていく計画であるらしい。

展示会

NTTドコモのブースでは、近く発売される902シリーズのデモを行っていた。902上でJavaで動作するゲームを触ってみたが、携帯とは思えないほどのクオリティであった。

また、サンのブースではRFIDが埋め込まれた棚のシステムが興味深かった。これは、書類などをまとめておくバインダーにRFIDが埋め込まれており、権限の無い人が棚からバインダーを持っていこうとすると、警報がなる、というシステム。

また、SunRayと呼ばれるシンクライアントも興味深かった。これはディスプレイの前面にカード挿入口がついており、ここにJavaカードを挿入すると、サーバに接続され、自分のデスクトップを操作できるといったもの。このシステムのすごいところは、途中で作業を中断する場合は、ただJavaカードを抜くだけでよく、作業の続きを行いたい場合は、適当なSunRayのマシンに自分のJavaカードを挿入すれば、前回カードを抜いたときの状態が復元され、作業の続きが行えるというもの。

Day3 BOF

業務の関連で午前中の基調講演を聴講することはできなかった。JavaOne終了後、いろいろなブログなどを見ているとミコ・マツムラ氏の講演が素晴らしかったとのこと。ぜひ聞いてみたかった。

私が参加したBOFは以下のとおり。

  • Feed Syndication and Java
  • POJO+Annotation=次世代のJavaアプリケーション開発!?
  • Project Looking Glass Hacks

Feed Syndication and Java

JavaRSS配信に関する話題と、それらをどのようにビジネスに活かすかを議論するコミュニティ「Feed Syndication」の紹介。前半はRSSやATOMなど、フィード技術に関する紹介であった。RSSのバージョン間の仕様の相違点や、様々なRSSの派生バージョンが生まれてしまったこと原因についてなど、興味深い話も聞くことができた。後半はブログエンジン社の製品紹介など。さらにROMEとよばれるライブラリ?の説明。既存のJavaWebアプリに簡単にフィードの機能をつけることが出来るようで、なかなか手軽そうな感じがしました。

POJO+Annotation=次世代のJavaアプリケーション開発!?

河村さんのBOF。立ち見がでるほどの盛況ぶりであった。内容はDIやアノテーションなどについて。とくに、JBoss Seamやstripesなど、学ぶところが多々あった。最後にうち会社のサーバーで公開している技術調査ページの宣伝もあり、さすがだなと思った。

Project Looking Glass Hacks

Looging Glass開発チームによる、Looking Glassのディープな使用例。とくに、エイタロウソフトの西島氏が開発した携帯上のLooking Glassの実装が素晴らしかった。さらにプレゼンテーションの方法自体も非常にうまく、勉強になった。

また、KawaというSchemeインタプリタを使用してLooking Glassを操作するという、えんどう氏によるデモがあったが、プレゼンテーション自体は淡々とした感じで、正直理解できないところも多々あった。しかし、その後の司会の方の解説によると、Looking Glassのサポート対象外であるMacOS上で何事もなかったように動かしている、というものすごい方らしい。Geekと呼ぶにふさわしい方であると感じた。(以上、修正しました。ご指摘ありがとうございます)

まとめ

JavaOneに参加してみて最も感じたところは、Sunの勢いが今後増してくるのではないか、という点である。私が入社したころから、ちょうどEclipseが盛り上がってきていたこともあり、個人的には、Javaのリーダー=IBM、というイメージが頭にあった。しかし、Sunも非常に精力的にJavaにコミットしており、今後はサンの動向もウォッチしておく必要があると強く感じた。また今回のように現役のJavaエンジニアが一同に介するというカンファレンスは他になく、参加できたこと自体が非常に有意義であった。